第62回北海道エスペラント大会

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以下のとおり実施しました。
大会期日: 1998 年10月12日(月)〜18日(日)
大会会場 :苫小牧港湾労働者福祉センター
     

主 催 北海道エスペラント連盟、第62回北海道エスペラント大会開催実行委員会
後 援 日本エスペラント学会、関西エスペラント連盟、ウラジオストックエスペラントクラブ、在札幌ロシア連邦総領事館、北海道、北海道教育委員会、苫小牧市、苫小牧市教育委員会、北海道ユネスコ連絡協議会、(財)北海道生涯学習協会、日本ユーラシア協会北海道連合会、日本ユーラシア協会苫小牧支部、北海道新聞社、北海道新聞苫小牧支社、北海タイムス社、苫小牧民報、朝日新聞北海道支社、毎日新聞北海道支社、読売新聞北海道支社、NHK 札幌放送局、HBC 北海道放送、STV 札幌テレビ放送、HTB 北海道テレビ、UHB 北海道文化放送、TVh テレビ北海道、FM北海道、FMノースウェーブ


プログラムにあるシンポジウムについての予縞の一つを紹介します。


北海道大会 シンポシウム予稿

ヤマサキ セイコー

1.エスペンチストは言語権をだいじにしてきたある特定の言語が国際語として覇権を握ることに反対し,それをどの民族にも属さない中立の計画言語エスペラント語で置き換えることを主張してきた.

2.日本の少数民族,少数言語ここに問題にあることにようやく人びとが気がつき始めた.

 わたしはこう考える:アイヌ語の問題は専門の方のご意見に待つとして,北方領土については国家的帰属よりも人びとの権利が損なわれないことのほうが重要である.漁業をなりわいとしている人びとの権利,先祖がだれであろうと,今そこに住んでいる人,昔住んでいながら,いまそこに帰ることができない人の権利などと並んで,だいじなことでありながら日本人の気がついていない権利,言語権がある.

a.「公用語」として国家語を押しつけない,
b.少数言語の教育を保証する,
c.隣人の言語を進んで習う広い心,
d.その上にどちらかの言語で話すのは他方にとって不利であることを認めること,

これを防ぐ道は中立計画言語の採用以外にないことに人びとが気が付くためにわれわれは努力する.

3.日本語の問題

 エスペランチストすらこれに無関心の人が多い.日本語はむかし漢字,いま英語によってメチャクチャにされているのだ(「ゴージャスなマテリアルをリッチにユースして」).
 ローマ字―カナモジ運動はかつては事務能率化が大きな動機だった.ワープロの普及によってこの問題は解決されたように見え,文字改革は理由を失ったかに見える.しかし、日本の文字改革は能率運動であるよりも日本語を守るのが本質である.
 これを伝統を重んじて,新時代の要求に答え得ないとするのは見当違いである.伝統を守ることが効率的なのである.ドイツに留学した人がドイツでは下宿屋のおばさんが哲学用語を使うといって感心している.それは逆だ.哲学者がおばさんのことばで書くのがドイツである.
 ローマ字とカナモジとエスペラントという3つの言語の革新的な運動が連帯しなくてはならない.いまそれがバラバラなのはそれぞれに責任がある.まず互いに悪口をいわないことである.それから互いに勉強し合わないといけない.ローマ字論者でカナは不徹底だからダメだという人がいる.わたしは2段階革命論である.
 エスペラントをこどもに教えている小学校の先生がいる.「まずアルファベットを教えないといけないので大変です」と言う.小学校でローマ字教育を熱心にやっている先生がいるのにその存在すら知らない.そこで手を握れるではないか.戦後の日本が民主化の熱に燃えていて,国語審議会が保守派の手に握られる前は国語以外の教科を全部ローマ字で教えた実験学級があった.その人たちはすこしも学力が劣っていなかった.大学教授になった人が何人もいる.そしてローマ字教育は良かったと言っている.ローマ字は国際的な文字である.エスペラントの国際主義と精神において近いのである.
 いっぽうローマ字教育に熱心な人びとは英語だけが外国語で小学校から英語を教えるなどということに疑問を示さない.
 エスペンチストは日本語の固有名詞を書くのにエスペラント式の綴りを使う.つまりアルファベットは外国の文字で,日本人の名まえを書くのは日本の中学生が英語の教科書にカナをふるのと同じ便宜的な記号にすぎない.だからあの外務省が旅券に強制している,理論的には論破し尽くされたヘボン式と同じものであることに気が付かない.ローマ字は漢字,カナ,アラビア数字と同じ日本の文字である.外国の文字ではない.
 北海道はその他の地域と違う.わたしは北海道にこそ期待している.
 古い歴史のあるアイヌ語原の地名が意味とはまったく関係のない漢字に踏みにじられている.ではカナでいいか.カナは日本語の標準的な表記だから,これでどう表すかは研究して決めないといけない.しかしカナはアイヌ語を書き表せない.ローマ字にせざるを得ない.とすると道しるべにはカナとローマ字の日本立てにしないといけない.

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