文字の表記法、発音の仕方


 [エスペラントの発音]  [アイヌ語の表記及び発音]


エスペラント語とは、ポーランドのザメンホフという人が、1887年に発表した人工言語です。その最大の特徴は、完全に規則的な文法規則にあります。これによって、外国語学習に伴なう苦労・労力が最小限におさえられるので、世界中の人々が簡単に習得出来、お互いのコミュニケーションが簡単に図れるというものです。

現在、エスペラント語の使用者は世界各地におり、また、世界各地にエスペラント組織があり、世界大会等も開催されています。日本の最大組織としては、(財)日本エスペラント学会があります。

エスペラントは、80カ国以上、100万人以上の方が話していると言われています。100年以上の歴史を持ち、いくつかの人工語案の中では、一番成功した言語です。

さて、エスペラントのアルファベットのなかには、 英語のアルファベットには含まれない、字上符を伴った文字があります。 これはアクセントの記号ではなく、文字の一部です。 これらの文字はLatin-3コードには含まれていますが、 現在Latin-3コードはあまり一般的ではありません。 そこで、このページでは字上符付きの文字を、該当する字上符なしの文字の 後ろに「x」を入れて表すことにしました。 エスペラントのアルファベットには「x」は含まれないので、 このことによるエスペラント内部での意味の混乱はありません。

母音、a、i、u、e、oはローマ字読みでかまいません。 子音で気をつけていただきたいのが、cx、j、uxです。(それぞれ1文字を表します。)

字上符付きの文字と、さらに詳しいエスペラントの発音については、以下のとおりです。


ザメンホフによるエスペラント語の原典からの抜粋

 注 もし印刷などで符号(字上符)(^, )の使用が困難な場合には、(^)にはhを代用し、()は省略してもよい。

 エスペラントは上のような文字を用いて表記します。c, g, j, h, s, u のうえに字上符「^」のついた文字を用いる代わりに,英語などで使われるq, w(上には便宜的に載せてます), x(例外的にインターネットでよく用います), y は固有名詞等を除き、原則使いません。上の文字は小文字ですが、大文字も同様です。

 また、ザメンホフは言及してないですが、インターネットでは字上符の代わりに "X" を使う(下記参照)ことが多いみたいです。(下記参照)

  a   b   c  cx   d   e   f
  g  gx   h  hx   i   j  jx
  k   l   m   n   o   p   r
  s  sx   t   u  ux   v   z


エスペラントの一般的な発音の仕方


国際音声記号(IPA)により、エスペラントを発音記号で示したものは、こちら

母音は日本語と同じa i u e oアイウエオの5つで,子音と組み合わせてほぼ日本語のローマ字と同じように読むことができます。u は日本語より口をすぼめて、はっきり発音します。全ての語は綴り通りに読まれます。黙字はありません

ba, bi, bu, be, bo--バ, ビ, ブ, ベ, ボ
fa, fi, fu, fe, fo--フ, フ, フ, フ, フ  
前歯を下唇にあて息を出す。
ga, gi, gu, ge, go--ガ, ギ, グ, ゲ, ゴ
ha, hi, hu, he, ho--ハ, ヒ, フ, ヘ, ホ
ka, ki, ku, ke, ko--カ, キ, ク, ケ, コ
ma, mi, mu, me, mo--マ, ミ, ム, メ, モ
na, ni, nu, ne, no--ナ, ニ, ヌ, ネ, ノ
pa, pi, pu, pe, po--パ, ピ, プ, ペ, ポ
ra, ri, ru, re, ro--ラ, リ, ル, レ, ロ
va, vi, vu, ve, vo--ヴァ, ヴィ, ヴ, ヴェ, ヴォ  
前歯を下唇にあて息を出す。

次のものはローマ字読みと少し異なります。
da, di, du, de,do--ダ, デ, ド, デ, ド di, du は、ヂ, ヅではない。
sa, si, su, se, so--サ, ス, ス, セ, ソ 
si は、シではない。
ta, ti, tu, te, to--タ, テ, ト, テ, ト  
ti, tu は、チ, ツではない。
za, zi, zu, ze, zo--ザ, ズ, ズ, ゼ, ゾ 
zi は、ジではない。

次のものはローマ字読みから類推できません。
ca, ci, cu, ce, co--ツァ, ツィ, ツ, ツェ, ツォ 
la, li, lu, le, lo--ら, り, る, れ, ろ  
舌先を上の前歯の付け根に当てて出す音。
ja, ji, ju, je, jo--ヤ, イ, ユ, エ, ヨ 


字上符「^」のついた文字は、以下のとおり。( )との違いに注意してください。

c^a, c^i, c^u, c^e, c^o --チャ, チ, チュ, チェ, チョ
(ca, ci, cu, ce, co--ツァ, ツィ, ツ, ツェ, ツォ)

g^a, g^i, g^u, g^e, g^o --ヂャ, ヂ, ヂュ, ヂェ, ヂョ 
チを濁らせた音
(ga, gi, gu, ge, go--ガ, ギ, グ, ゲ, ゴ)


j^a, j^i, j^u, j^e, j^o --ジャ, ジ, ジュ, ジェ, ジョ 
シを濁らせた音
(ja, ji, ju, je, jo--ヤ, イ, ユ, エ, ヨ)

s^a, s^i, s^u, s^e, s^o --シャ, シ, シュ, シェ, ショ
(sa, si, su, se, so--サ, ス, ス, セ, ソ) 

次の字を使う単語は、あまりありません。
h^a, h^i, h^u, h^e, h^o --は, ひ, ふ, へ, ほ 「ごほん」と咳払いするときの「ほ」。
(ha, hi, hu, he, ho--ハ, ヒ, フ, ヘ, ホ)

字上符「」のついた文字は,
aux, eux--ア, エ


u に字上符「」がついた文字はワ行の発音になります。

また、エスペラントは後ろから2番目の音節(母音)必ずアクセントをおきます。

実際のエスペラントの発音を聞いてみたい方
は、次のサイトで、英語の単語に対応したエスペラントの単語をクリックすればサウンドクリップで発音が聞けます。
A compendium of Esperanto sounds

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アイヌ語のローマ字表記(カナ表記)、発音について

アイヌ語の母音は日本語と同じa i u e o,アイウエオの5つです。音価は、いずれも日本語の母音と似てます。ただし u は、日本語のウよりも唇を丸めて突き出すようにして奥で調音され、オのように聞こえることもあります。

アイヌ語の子音は、k, s, t, cx, n, h, p, m, j, r, ux, ' 12種となります。

アイヌ語の音節について、その組立を調べてみると、以下のようになっています。

 (1)単音一つで出来ているもの。(母音)型
     例 a, i, u, e, o

  (2)単音二つで出来ているもの。(子音+母音)型
     例 ka, sa, ta, pa など。

  (3)単音二つで出来ているもの。(母音+子音)型
     例 ak, as, at, an, ap など。

  (4)単音三つで出来ているもの。(子音+母音+子音)型
     例 kar, tak, pas, sar, nan など。


 ここで注意されるのは、アイヌ語の音節は必ず1個の母音が中心になってできており、母音の前後には子音があり、子音だけの音節はないということです。

子音音素は12個ありますが、アイヌ語教室で使われるテキストの表記法を参考にするとアイヌ語の「開音節(母音で終わる音節)」のエスペラント式ローマ字表記とカナ表記は、以下の通りになります。声門閉鎖音 ' は、開音節において便宜上示すことはないので、開音節は11種の子音と母音の組み合わせとなる。)なお、アイヌ語教室で使われるテキスト等の通常のローマ字表記はエスペラント式でないものを用いています。(その場合、cx が c に、j が y に、ux が w になります。)

a-, i-, u-, e-, o- ア, イ, ウ, エ, オ
ka-, ki-, ku-, ke-, ko-
カ, キ, ク, ケ, コ
sa-, si-, su-, se-, so-
サ, シ, ス, セ, ソ 
ta-,    tu-, te-, to-
タ,   ト, テ, ト
cxa-, cxi-, cxu-, cxe-, cxo-
チャ, チ, チュ, チェ, チョ
na-, ni-, nu-, ne-, no-
ナ, ニ, ヌ, ネ, ノ
ha-, hi-, hu-, he-, ho-
ハ, ヒ, フ, ヘ, ホ
pa-, pi-, pu-, pe-, po-
パ, ピ, プ, ペ, ポ
ma-, mi-, mu-, me-, mo-
マ, ミ, ム, メ, モ
ja-,    ju-, je-, jo-
ヤ, ユ, イ, ヨ 
ra-, ri-, ru-, re-, ro-
ラ, リ, ル, レ, ロ
uxa-,      uxe-, uxo-
ワ, ウ, ウ

カ行音の子音は日本語とほぼ同じですが、カとガの区別はありません。また、音節の尾音 -k は、無破裂なので、日本人はよく聞き漏らします。

サ行音の子音は日本語とほぼ同じですが、シャとサの区別はありません。また、音節の尾音 -s は、通常 sx()のように発音します。

タ行音の子音は日本語とほぼ同じですが、タとダの区別はありません。ツという音節はなく、その代わりにト tuという日本語にない音節があります。おおよそ英語の twotoday の最初の音と同じです。また、音節の尾音 -t は、無破裂なので、日本人はよく聞き漏らします。

ローマ字でcxa, cxi, cxu, cxe, cxo と表記する音は日本語の チャ, チ, チュ, チェ, チョと同じ音です。

ナ行音、ハ行音、マ行音の子音は日本語とほぼ同じです。

パ行音の子音は日本語とほぼ同じですが、パとバの区別はありません。また、音節の尾音 -p は、無破裂なので、日本人はよく聞き漏らします。

ヤ行音の子音は日本語とほぼ同じです。 je という音節は日本語にありません。これは、エ1文字と同じ長さになるように発音します。 

ワ uxa は、日本語のワと同じですが、ウ uxe 、ウ uxo などは日本語にない音節です。これも、イ je と同じように1文字の長さになるように発音します。

アイヌ語の重母音には、

  i) , ウ, エ, オ

 ii) , イ, エ, オ

の2種がありますが、アイヌ語の音韻組織上からいえば、

  i) aj, uj, ej, oj

 ii) aux, iux, eux, oux

と前述した単音二つで出来ているもの--(母音+子音)型にすぎません。

単語の最後に来る p, t, k, s, m は、プ, ツ, ク, シ, ム のようにカタカナ表記では、字体を小さくして表します。

また、 音節の尾音 -r は直前の母音(ア,イ,ウ,エ,オ)の音色に従って、ラ,リ,ル,レ,ロ にひびくので、原則としてそのように表します。

音節内で、ti, uxi, uux, ij の結合は起こりません。

次の2つの音節の接点では、以下のように音素交換します。

 -n + j- --> -jj-  -n + m- --> -mm-  -n + p- --> -mp-

 -n + s- --> -js-  -n + ux- --> -nm-

 -r + cx- --> -tcx-  -r + n- --> -nn-  -r + r- --> -nr-  

 -r + s- --> -ss-   -r + t- --> -tt-

 -t + i- --> -cxi-

その他の音韻変化として以下のものがあります。

 (1)音韻脱落

    1 アイヌ語には、母音の重出をさけるという、かなり目立つ強い傾向があります。

       i) 同じ種類の母音がつながって現れると、それらを一つに発音してしまうことが多いです。

         例 kera 味 + an ある --> keran おいしい

       ii) 異種の母音が隣り合って現れると、初めの母音を追い出してしまうことが多いです。

         例 cxi- 我々の + e 食う + -p もの --> cxep 魚、とくにサケ

    2 同種の子音が隣り合って現れると、その一つが追い出されることがあります。

       例 o- そこに + sik 目を + kote 結びつける --> osikote 惚れる

    3 子音と母音の板ばさみになった h は、よく姿を消します

       例 itak 彼物言う + hauxe その声 --> itakauxe 彼が言ったこと

    4 子音と母音とに挟まれた j 落ちます

       例 kor 持つ + -jar させる --> korar 持たせる

 (2)音韻添加

    1 名詞の所属形の強調形として h が挿入されます。

       例 tek 手(概念形): teke 彼の手(以下、所属形): tekee: tekehe

    2 母音の重出を避けるため、j が挿入されることがあります。

       例 i- それ(栗など)を + uta まく --> iyuta まきものをする

    3 母音の重出を避けるため、ux が挿入されることがあります。

       例 u- お互いを + osurpa 捨てる --> uuxosurpa すてあう、夫婦別れする

 (3)音韻転化

     上記の表「音素交換」の他に以下のものがあります。

    1 北海道の北東部(北見、釧路、十勝など)の諸方言において、

      'k' 't' 'p' が隣り合った場合、前のものが後のものに同化します。

       例 hotke 寝る --> hokke

    2 北海道の日高支庁沙流郡の方言では、

      w は、m 或いは n の後に来ると、それに同化して m になります。

       例 isam 無い + wa て --> isam ma 無くて


アイヌ語のアクセントは、日本語と同様、高低アクセントですが、北海道の多くの方言で次のような傾向にあります。

1)第1音節が開音節ならば、アクセント核は第2音節にある。(こちらの語が圧倒的に多い。

2)第1音節が閉音節ならば、アクセント核は第1音節にある。例外が少ない。

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