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第72回北海道エスペラント大会 報告

- La 72-a Hokkajda Kongreso de Esperanto -

Jen estas anonco pri la 72-a Hokkajda Kongreso de Esperanto
okazonta en Sapporo la 13an/septembro - 14an/septembro.

Hokkajda Esperanto-Ligo

と き:2008年9月13日(土)〜9月14日(日)
ところ:北海道旅客鉄道株式会社社員研修センター 札幌市東区北5条東10丁目



機関誌「Heroldo de HEL」第121号の報告文 (編集者:星田)
La raporto en la organo 'Heroldo de HEL' (rad.: Hosxida)

La 72a Hokkajda Kongreso de Esperanto
第72回北海道大会(報告)
La Red.

La 72a Hokkaida Kongreso de Esperanto okazis dum la 13a--14a/sept., 2008 en la Trejna Centro de Hokkajda Relvojo. Memore al la parlamenta rezolucio agnoski ainan genton indigxena en Japanio, en la unua tago okazis prelego de S-ro NOMOTO Hisae, estro de Aina Pen-Klubo, pri aina kulturo, tradicio kaj lingvo.

第72回北海道エスペラント大会は, 9月13日と14日, 札幌市東区のJR社員研修 センターで開催された。参加者23人(不在参加者3人、一般聴講者5人を含む)。
13日は13時30分から国際言語年とアイヌ民族先住民決議を記念してアイヌ語 ペンクラブ会長・野本久栄氏のアイヌ文化についての講演。終了後近くの 台風厨房札幌アリオ店へ移って17時ごろからBankedo。
14日は9時半から研修センターで北海道エスペラント連盟総会。 終了後、午後から新年度第1回の委員会を開いた。
La 72a Hokkaida Kongreso de Esperanto okazis dum la 13a - 14a/sept., 2008 en la Trejna Centro de Hokkajda Relvojo. (23 partoprenantoj <inkludinta 3 partoprenantojn sen cxeesto kaj 5 gxeneralajn cxeestantojn>)
En la 13-a je 13:30 s-ro NOMOTO Hisae, estro de Aina Pen-Klubo, prelegis pri aina kulturo memore al la Internaca Jaro de Lingvoj kaj la Parlamenta Rezolucio agnoski ainan genton indigxena en Japanio.
Post tio la Bankedo okazis je 17 horoj najbare de la kongresejo, en la restoracio Taihuu-Cxuuboo de la cxiovendejo Sapporo-Ario.
Je 9:30 en la 14-a en la Trejna Centro la Gxenerala Kunveno de HEL okazis. Post tio la unua komitata kunveno okazis post tagmeze.

Prelego memore al la parlamenta Rezolucio agnoski ainan genton indigxena en Japanio,
[国際言語年・「アイヌは先住民」国会決議記念講演会]

日時、場所:9月13日13時30分〜16時、JR研修センターにて
講師:アイヌ語ペンクラブ会長 野本久栄さん
Dato: la 13an/sept. - 14an/sept.
Loko: la Trejna Centro de Hokkajda Relvojo
Preleganto: s-ro NOMOTO Hisae, estro de Aina Pen-Klubo

司会者(横山広報部長)の紹介に続き、星田委員長が「エスペラント運動と先住民の文化・言語の尊重」についてプラハ宣言を引用して解説し、野本講師の 講演に移った。
La prezidanto de la Kongreso (La informa fakestro, YOKOYAMA) prezentis la preleganton, kaj la prezidanto de HEL (s-ro HOSxIDA) klarigis "Esperantan movadon kaj respekton al indigxena kulturo kaj lingvo" laux la Manifesto de Prago.

講演要旨:1951年白老で和人とアイヌの両親の子として生まれ、アイヌとしての自覚・関心はなかったが35才から民族の問題にかかわるようになった。
それまでの私と同じように、「私はアイヌだ」と名乗る人は少ない状態は今も変わらないが、誰かがやらねばならぬこと、と思ってアイヌの文化・伝統,儀式などを教え、アイヌタイムズを発行している。
鮭を捕り料理する儀式に「残酷だ」と言われたが、人間誰でもほかの生き物の「命をいただいて」生きていることを自覚する意味がある。だからその「命をくださる自然」を大事にせねばならぬ。天から下りてきたものに何一つ無駄はない。アイヌ語地名はどんどん消えているが、和訳されて残っているものもある。ひと口で言えばアイヌ文化とは「生活に必要なものは自分で作って使う」文化だったと思う。その道具を作るのは男の役目だった。

Resumo de prelego: En 1951 en urbeto Sxiraoi mi naskigxis inter japana kaj aina gepatroj. Mi ne estis memkonscia kaj ne havis intereson pri aino. Sed mi havas rilaton kun aina etna problemo ekde 35 jaraj. Nun estas sensxagxe, ke malmultaj estas ainoj, kiuj anoncu, "Mi estas aino." Sed mi pensas, ke iu ajn faru ajxojn pri aino. Tial mi gvidas ainajn kulturojn, tradiciojn kaj ceremoniojn, kaj faras 'AinuTimes'."
Oni diris, ke kruela estas la ceremonio, fisxkapti salmonojn kaj kuiri gxin. Sed estas signife, ke oni devas koni vivi ricevante vivon de aliaj vivajxoj por cxiuj homoj. Tial ni zorgu pri naturo donanta vivon. Li diris, "Kanto or wa yaku sakno a=ranke p sinep ka isam. (Ekzistas neniu, kiu estis malaltigita el cxielo sen sia rolo.)" Ainaj loka-nomoj perdigxas pli kaj pli, sed estas restaj loka-nomoj japanigitaj el la aina. Unuvorte aina kulturo estas, ke oni mem-faru kaj mem-uzu la necesajxojn de la vivo laux mia penso. La vira rolo estas fari la ilojn.


[講演の状況]

連盟員参加者15名で、不在参加者3名でした。13日は国際言語年とアイヌ民族先住民決議を記念してアイヌ語ペンクラブ会長・野本久栄氏のアイヌ文化についての講演がありました。14日は連盟総会でした。初日のアイヌ語ペンクラブ会長の野本久栄氏の講演には感銘を受けました。とりわけ、アイヌ語で説明があった「天から役目なしに降ろされたものはひとつもない」ということわざが印象的でした。

カント オ ワ ヤク サ ノ ア・ランケ シネ カ イサ

(カント=天; オ ワ=から; ヤク=役目; サ ノ=なしに; ア・ランケ=降ろされたもの; シネ=ひとつ; カ=も; イサ=ない)


横山からの報告文
Raporto de YOKOYAMA

野本氏より、カムイノミを始め、鮭を捕る時に使う道具、口琴についての話やアイヌ語の地名など幅広くアイヌ文化について講演していただいた。また、参加者にアイヌの衣装を着せ、各箇所を解説していただいた。好評であった。最後に解説いただいたアイヌ語の「天から役目なしに降ろされたものはひとつもない。」ということばに参加者の多くが感銘したようである。質問の時間を設けたが、参加者よりアイヌ文化について活発な質問があった。たとえば、衣類の話から冬の過ごし方についての話をしたり、男女の役割についてやタブーについての話、求愛の仕方の話などがあり、バライティの富んだ話となり、参加者にとっても有意義な話であったと思われる。

S-ro NOMOTO prelegxas pri rakontoj de vastaj ainaj kulturoj, t.e. kamujnomi (aina pregxo al aina diajxoj), marek (aina ilo, kiu estas uzita kiam aino fisxkaptas salmonojn), mukkuri (aina muzika instrumento, busxharpo), aina loka nomo kaj aliaj. Kaj li portigis ainan veston al partoprenantoj. La prelego gxuas grandan reputacion. Fine li konigis la signifon de tio, ke "Kanto or wa yaku sakno a=ranke p sinep ka isam. (Ekzistas neniu, kiu estis malaltigita el cxielo sen sia rolo.)" Multaj partoprenantoj ricevis impreson.



エスペラント(語)と国際言語年とアイヌ語について

 エスペラントは、言葉が異なる民族の間で平等・公正となる平和的・民主的な国際交流を実現するために 1887年にザメンホフという人が考案した言葉である。現在その使用者は世界中に広く分布し100万人ぐらい存在すると推定されている。当連盟は1932年に設立され、その目的は北海道におけるエスペラントの宣伝と実用をはかり、民主的文化の向上に寄与し世界的な交流をはかることである。
 1979 年には北海道の文化の紹介として、知里幸恵編の「アイヌ神謡集」をエスペラントに訳し出版した。(題名:Ainaj Jukaroj) これは世界中のエスペラント使用者の高い評価を得ている。

 1996年7月にチェコのプラハで開催された第81回世界エスペラント大会で採択された「プラハ宣言」では(少数)言語の権利や言語の多様性を支持しており、これはアイヌ語の復権運動にも関連しているものである。世界的組織である世界エスペラント協会は、ユネスコと「情報・諮問関係」にあり、1968年の「人権宣言年」には言語差別の問題を調査している。今年、2008年は国際連合が定めた「国際言語年」である。全国組織の(財)日本エスペラント学会は、世界エスペラント協会とともに、「民族内では自らの言語で、民族間・国際間には(中立の立場の)国際語エスペラントで」という多言語主義の考えから、国際言語年に協賛している。

(財)日本エスペラント学会のホームページには、下記のようなことが書かれている;「エスペラント使用者は、ユネスコが世界の多言語化にとりくむ思いを共有し、エスペラントは母語や初等教育の言語が違う人々を結ぶ架け橋の一つと考えている。2007年8月11日に横浜で「多様性の中での統一を推し進める手段として、エスペラント共同体が真の複数言語主義を無条件に支持することを言明し、国際連合の定める国際言語年の目標達成のために尽力する」という第92回世界エスペラント大会決議が採択された。」

当連盟の機関紙「Heroldo de HEL」及びホームページにアイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事の一部をエスペラントに訳して掲載している。また、現代社会におけるエスペラント語使用者の立場が表明されている「プラハ宣言」 − アイヌ語の復権運動にも関連しているものであるが − これをアイヌ語に訳し、2007年8月に40年ぶりに日本で開催された横浜の第92回世界エスペラント大会で、世界中のエスペラント使用者に公表した。

「プラハ宣言」にある(少数)言語の(使用する)権利や言語の多様性への支持という考えが、エスペランチストの根幹にあるということもあり、北海道でエスペラント普及活動をしていると、海外のエスペランティストからアイヌ文化に関する問い合わせがよくある。エスペラント運動は、他民族の文化をお互いに尊重し合い、他民族どおしがコミュニケーションをする場合のみ中立のことばであるエスペラントを使うというものである。これは、ある言語だけが優位にあることを認めない運動でもあるので、アイヌ文化を普及させるという精神とある意味では一致している。

現在、白老アイヌ民族博物館の承諾を得て、そのホームページにあるアイヌ文化紹介をエスペラント訳したページを作成中であるが、今後ともこのような交流を通じ、特に外国のエスペランチストの要望に応えるために、エスペラントを介してアイヌ文化を世界へ発信していこうと考えている。



2008年9月9日(火)北海道新聞記事

 アイヌ語振興
 13日に講演会

 六月に日本政府がアイヌ民族を先住民族と認定したことを記念した講演会(道エスペラント連盟主催)が十三日午後一時から、札幌市東区北五東十のJR北海道社員研修センターで開かれる。
 アイヌ語ペンクラブの野本久栄会長がアイヌ語の振興について語る。参加無料。問い合わせは同連盟の星田委員長 0144・74・2539へ。

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